伝統医学アーユルヴェーダや自然治癒を高める健康法まで

ルイジ・コルナロの無病法 極少食の威力とは

ルイジ・コルナロという人は1464年に生まれ、
1566年の102歳で没するまで非常に健康で
当時としてはかなり長生きをしました。

コルナロが書いた食事健康法の本「無病法」は今だに読まれ続けるほど
その価値は普遍的です。

ここではコルナロの人となり、
そして晩年のエピソード、
彼が実際に食していたものについて「無病法」からご紹介します。

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コルナロの経歴


コルナロはヴェネツィアの名門貴族で、
公職として近隣都市の行政長官を務めました。


彼は40代半ばまでは好き勝手な食生活を楽しんでいたようです。
まあ、裕福な貴族ですから想像に難くないですね。


その放縦な食生活のせいで酷く体を壊しますが、
極めて少ない食事の実践によって甦り、
自らの体験を食事の健康本として出版しました。


その本は各国に訳されてかなりの数が売れたのですが、
それは現在で言うところのミリオンセラーをはるかに超えるものでした。

もちろん、ラテン語にも訳され、知識人の間でもよく読まれたそうです。


コルナロはイタリア人としてはヨーロッパでは最も有名な人物となり、
同時代のレオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロよりもはるかに有名でした。

フランシスコ・ベーコンンも彼の著作を褒めたたえ、
コーンフレークの発明者ケロッグもコルナロを高く評価しました。


晩年のエピソード


コルナロは80歳を過ぎても1日に8時間の書きものをしたり、
乗馬や山登りを楽しんでいました。

83歳の時には声が朗々として、
人生で今が一番声が大きいと言ったそうです。


老年になっても体は極めて健康で、気分はいつも陽気で、
心が曇ることは一時もない。

五感はすべて完全で、歯も声も、記憶力も心臓も
悪くなったり衰えたりしない。
頭脳は以前より明晰さが増している。

夜は完全に熟睡で、見る夢はどれも楽しいものばかり。
声も衰えず、朝晩の祈りでは歌い出さずにはいられない。

加齢によっての低下をまったく感じていないなどと書き記しています。


これは現代の我々にとっても驚くべきことです。
自分の親戚や周りの80代にもこんな元気な人はなかなかお目にかかれません。

コルナロは老人にはほとんどある夜中にトイレのために起きる
ということが無かったのでしょうね。

また、見る夢が楽しいというのは一見、健康とは関係ないように思う方も
いるでしょうが、私も自分の経験から元気がなくなると恐い夢を見ることが
多くあるので、これには凄いなと思ってしまいました。


コルナロは老年を日々楽しみ、死を恐れず、死後に天国に行けることを
心から楽しみにしていたようです。


馬車事故による大けが

コルナロが70歳の時、馬車が転倒し、大けがを負いました。 
実はこの時、医師はあと4日の命と思っていました。

医師は瀉血することを提案します。

瀉血は日本ではあまり知られていませんが、汚い血を抜くことによって
健康を回復するという優れた方法です。

しかし、コルナロは普段からの極少食によって
自分の血が汚れていないことを確信していたので瀉血を断り、
オイルマッサージだけをして見事に回復しました。


次はコルナロが健康を害し、それから極少食にした経緯と
実際の食事量とその内容をご紹介します。



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なぜ極少食にしたのか 実際の食事量は


裕福な貴族のコルナロは好き勝手な食事を続けていたせいで、
35歳からの10年間は胃がおかしくなり、痛みに襲われ、痛風や微熱、
喉の痛みを生じ、ついには生きる望みが断たれるほどでした。


そんなコルナロへの医師からのアドバイスは
「食べ物にしても飲み物にしても、
通常、病気の時しか摂らないものを摂り、
しかも極少量のみを摂る」

というものでした。

こうしたアドバイスは初めてではなかったようですが、
それを受け入れないといけないほど深刻な状態になっていたようです。


ところが、食事を極端に減らしてみると、わずか数日後には良い感触を得て、
1年も経たない内に全ての疾患が消えてしまいました。


コルナロが実際に食べていたものですが、それは
パンと卵の黄身、スープまたはパン粥、
それと肉と魚を少し、かわるがわる数種類食べるというものでした。


1日の食事量は350gで飲み物はワインを400cc、
これを1日2回に分けて摂っていました。


1食当たりでは食事がたったの175gとワインが200ccになります。


コルナロは食事量については次のように言っています。

コルナロ自身は生来、胃が弱いので少なくしたが、
他の人はここまで少なくしなくてもいいだろう。

しかし、だれでも自分に合ったものだけを胃が容易に消化できる量だけ食べるべきだと。


コルナロはけっして菜食主義ではありませんし、
アルコールもワインですが飲んでいました。

もっとも大切にしていたのは消化しきる量を摂るということです。


消化できないと悪気を生じ、血液を汚し、
これが病気の原因になる
とコルナロは考えていました。

インドのアーユルヴェーダでも消化できなかった未消化物が
時を経て腐敗化した毒素が病気の原因の90%を占めると考えています。


極少食では病気の原因を作らないので病気になることはありえないと、
コルナロは自信たっぷりに語っています。

コルナロは自分は病死ではなく、自然死でこの世を去り、
苦痛のない安らかな死を迎えると思って晩年を過ごしていましたが、
実際、その通りでした。

また、生まれつき病弱な者でも厳格に食を節することができれば
好きなだけ食べる者よりも長生きすると言っています。



ある時、少食を心配した家族の勧めでコルナロが一度だけ
食事量を増やしたことがあります。

といっても食べ物をたった50gとワインを50cc増やしただけです。

しかし、その10日後には体調が悪くなり、痛みが出て、
気分も悪く、眠れなくなりました。

発熱は1ヵ月以上続き、死の淵をさまようところまで行きました。

そこで、食事量を元に戻すと回復しました。



健康の秘訣


コルナロは食事量の他にも健康の秘訣について、
次のように述べています。

働きすぎない、暑すぎず寒すぎず、空気が悪いところに長時間いない。

精神面では憂うつ、憎しみ、その他の否定的感情は心身に良くないので、
そのような感情を持たないようにする。


なお、この「無病法」では、断食の実践ノウハウについては書かれてありません。




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