夏バテの予防・対策法 栄養(食事)のとり方が大切!
夏は食欲が最も弱くなる季節です。 ですから食事は固形物より自然と柔らかく喉越しのよい、ざる蕎麦やそーめんなどを食べたくなります。しかし、これでは栄養の摂取が悪く、ますますスタミナや気力が弱まります。 こんな悪循環を抜けるために、アーユルヴェーダ流の食べ易くて栄養もとれる方法をご紹介します。
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よくある間違った方法
夏バテの予防・対策法はテレビでもよく紹介されますが、とって欲しい栄養面ばかりを強調されていて、現実的にはその食事では消化に悪く、返って夏バテを悪化させてしまうのではないかと思うものをよく目にします。
その代表的な例が「豚肉やうなぎ」です。
豚肉とうなぎが勧められるのは、糖質からエネルギーを作るために必要なビタミンB1が豚肉とうなぎに豊富だから、と栄養士が頭で考えたからでしょう。
でも、そもそも暑くて食欲が低下しているのに、消化に負担のかかる脂っこいものを誰が好んで食べるのでしょうか?
それとも無理してでも食べればエネルギーになるとでも言うのでしょうか。 とても経験に即した夏バテ対策法とは思えません。
ここで夏バテが起こるメカニズムについて簡単に触れておきたいと思います。ここからはインド伝承医学アーユルヴェーダによる説明になります。
【夏バテとは】
外気温が高くなると体はバランスを取るために体温を下げようとします。 体温が下がると同時に消化力(食欲)も下がります。
秋になって外気温が下がってくると、逆に体は内側を温めるために消化力の火をともします。これが秋に食欲が回復する理由です。
消化力が下がるというのは体の熱によって生み出される心身の機能が全て低下することを意味します。
それは具体的に言いますと、
消化と栄養吸収の低下 だるさ、疲労感、スタミナ(体力)の減少 便秘または下痢 無気力化、熱意(チャレンジ精神)の減退 集中力の欠如 知的好奇心の減少 知性(鋭さ)の低下 |
ここで、もう一つのよくある間違った夏バテの予防・対策法についてお伝えします。
【刺激的なスパイスや辛味】
それは食欲がない時に、スパイスの効いたカレーや唐辛子をまぶした唐揚げなどは食欲を促進するから夏バテ対策に良いというものです。 確かに、スパイスによる刺激でその時は食べやすくはなります。
しかし、スパイスはたいてい体を熱くします。 体が熱くなるので、体を冷やそうとたくさんの飲み物をとるはめになり、胃液を薄めて返って消化に負担をかけることになります。
すると翌日にはますます食欲が落ちて、夏バテが酷くなってしまうのです。
酢のものもスパイス同様に食欲を高めてくれますが、やはり体温を上げるので、とるなら少なめにしましょう。
ついでですが、カフェインは消化力のサイクルを乱すので、コーヒー・紅茶などの飲み物も夏バテにはよくありません。 アルコールは言うまでもないことです。
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次に、食欲が細り栄養摂取が少なくなるのを防ぐにはどのようにしたらいいのか、その具体的な食べ方についてお伝えします。
食事のとり方が大切
①起床後は水を飲む
睡眠中の発汗によって水分が奪われていますので、起床後に水を飲みます。 睡眠中は平均して500ml前後の水分が失われますが、多い人だと1ℓも汗をかくことがあるそうです。
発汗によって水分だけでなくミネラルも失いますから、ミネラル補給のためにも塩少々と合わせて、お水をコップ1杯(200~250ml)飲んで、朝一でスムーズに水分補給をするとよいでしょう。
起床後のお水は便通を促す働きもありますので、夏以外にも役立つ習慣です。
注意して欲しいのは、心地よいからと言って冷蔵庫で冷やした水を飲むのと、さらに消化力(食欲)を低下させて夏バテを助長するといった悪循環に陥ります。 体温よりも低い温度の飲食は夏場でも勧められません。
また、もし、喉の渇きを感じたときは(朝に限らず)、既に体から水分が足りなくなっている証拠です。 脱水状態になるとめまいやふらつきが起きますので、渇く前にこまめに水を飲んでおきましょう。
なお、コーヒーやお茶は水分の補給にはなりませんし、利尿作用があるので飲み過ぎると返って水分を失いやすくなります。
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②朝食は野菜・果物のジュースかスムージー
固形物からでなく、新鮮なジュースかスムージーにすることによって、消化に負担をかけずに栄養を吸収させることができます。
ただ、果物でも熟せずにまだ酸っぱい状態のものや柑橘系は体温を上げるので、夏には好ましくありません。
果物や野菜のジュースはパックやペットボトルに入れてあるものが売ってありますが、既に栄養は失われていますので、自宅で新鮮なものを作ることが大切です。
また、みそ汁も栄養の補給にはたいへん良いものですが、基本的に発酵食品なので体温を上げてしまいます。 夏場はあまり体温を上げない麦みそがお勧めです。しかし、それでも体が熱く感じる方は控えたほうがよいでしょう。
③体を熱くしないスパイス
スパイスは一般的に体を熱くするものが多いです。 特に唐辛子、ブラックペッパー、乾燥させた生姜粉末(ジンジャーパウダー)、カレー粉などは体を熱くしますので避けたいところです。
夏場でも大丈夫な、下記にあるような清涼感のあるスパイスを使うと体を熱くせずに食欲を促してくれるでしょう。
コリアンダー カルダモン フェンネル ペパーミント ターメリック サフラン |
なお、生の生姜は食後の消化を促進してくれますので重宝しますが、量が多いとやはり体を熱くしますので、個人で感じる適量を使われるとよいでしょう。
④渋味、苦味、甘味を多くとる
インドのアーユルヴェーダでは食物を6つの味に分けますが、それは「甘味、塩味、辛味、渋味、苦味、酸味」です。
よくテレビ番組で激辛料理を食べるリポートなどがありますが、激辛を食べてすぐに汗が出てきた光景を見たことはないでしょうか。
このように私たちの舌は味ごとにすぐに体温に反応し、温めたり冷ましたりします。 同じ味ばかり食べていると前述のように激しく体を熱くしたり、あるいは冷たくしたりして、病気の遠因にもなります。
体を冷ます味は「渋味、苦味、甘味」です。
体を熱くする味は「辛味、酸味、塩味」です。
普段から6つの味をまんべんなく摂ることが健康に有益ですが、季節の温度に応じてバランスの強弱をつけます。
野菜は全般的に渋味・苦味を持つので、野菜を生で食べるのは夏に最も良い食べ方です。
サラダ(生野菜)にはよくレモンをかけますが、酸味が強いレモンよりはむしろ甘味があって消化力を落とさないココナッツオイルやギー(無塩バターからつくる)などがよいでしょう。
お米やパン(小麦粉)は甘味に入ります。 白砂糖などの精製されて強まった甘味は自然なものではないので、勧められません。
一つの食品でも2つの味を持っているものもあるので、あまり神経質に6つの味のバランスを考えるのではなく、感覚として体を熱くする味のものは夏場は控え目にするくらいの気持ちがよいでしょう。
また、まったく「辛味、酸味、塩味」を避けるのは返って体によくありません。 控え目にするだけで充分です。
参考文献 「クオンタム・ヘルス」ディーパック・チョプラ
各食材についての詳細は、当ブログの別記事にあるアーユルヴェーダのピッタ体質(熱)に適している食材(体を冷ます)と適さない食材(体を熱す)の一覧表をご参照ください。
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